平成6年1月20日最高裁一小法廷平成3年(オ)第403号
1 夫婦の一方の配偶者が他方の配偶者と第三者との同せいにより第三者に対して取得する慰謝料請求権については、一方の配偶者が右の同せい関係を知った時から、それまでの間の慰謝料請求権の消滅時効が進行すると解するのが相当である。けだし、右の場合に一方の配偶者が被る精神的苦痛は、同せい関係が解消されるまでの間、これを不可分一体のものとして把握しなければならないものではなく、一方の配偶者は、同せい関係を知った時点で、第三者に慰謝料の支払を求めることを妨げられるものではないからである。
2 これを本件についてみるのに、被上告人の請求は、上告人が悌二郎と同せい関係を継続した間、被上告人の妻としての権利が侵害されたことを理由に、その間の慰謝料の支払を求めるものであるが、被上告人が上告人に対して本訴を提起したのは、記録上、昭和六二年八月三一日であることが明らかであるから、同日から三年前の昭和五九年八月三一日より前に被上告人が上告人と悌二郎との同せい関係を知っていたのであれば、本訴請求に係る慰謝料請求権は、その一部が既に時効により消滅していたものといわなければならない。
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