離婚請求の訴訟物
1.多元説と一元説
多元説:民法770条1項各号の離婚事由ごとに訴訟物が異なる
一元説:各号の定める離婚事由は攻撃防御方法にすぎない
2.最判昭和36年4月25日
民法第七七〇条一項四号所定の離婚原因が婚姻を継続し難い重大な事由のひとつであるからといって、右離婚原因を主張して離婚の訴を提起した被上告人は、反対の事情のないかぎり同条項五号所定の離婚原因あることをも主張するものと解することは許されない。(被上告人が、相手方の現状では家を守り子を育てることは到底望めない旨陳述していても、この一事によって同条項五号の離婚原因をも主張した趣旨とは解し難い。) |
この判決の立場は、一般に多元説に立つものと解釈されていますが、当事者の申立てた事項につき判決しなくてはならないという不意打ち防止を述べたに過ぎないとの理解もあります。
3 実務上の扱い離婚原因
第1審の実務上は、民法770条1項1号ないし4号の具体的離婚原因は5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」の例示であり、離婚原因は5号の抽象的な離婚原因に収れんされるとの扱いがなされています。
もっとも、再訴の禁止(人訴25条)の規定との関係から、原告としては、主張すべきことは全て主張することが必要であり、実際上も複数の事由を主張することが多く、このような実務上の扱いでも問題になることはありません。
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