日本において、平成26年4月1日に国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「ハーグ条約」)が発効することになり、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(ハーグ条約実施法)が制定されました。これまでに国外で適用されたケースはニュースにもなりましたが、今回は、条約発効後、日本国内で初めてハーグ条約が適用されたとのニュースです。
読売新聞2014年11月19日(水)21:30
結婚の破綻で国外に連れ去られた子の扱いを定めたハーグ条約に基づき、スリランカに住む40歳代の男性が、日本で暮らす30歳代の妻に娘(4)の返還を求めた申し立てに対し、大阪家裁(大島真一裁判長)は19日、妻に返還を命じる決定を出した。
4月に日本で発効した同条約に基づく返還申し立てで、国内の裁判所が判断を示したのは初めて。
決定などによると、男性と妻は日本人で、男性の仕事のため昨年2月から3人でスリランカで居住し、今年6月以降、妻と娘が西日本で別居するようになった。男性側は妻に娘の返還を求めたが、話し合いが決裂したため、10月16日、家裁に返還を申し立てた。
条約は、連れ去られた子は原則、「継続的に居住していた国」に戻すと定めている。裁判では、スリランカがこれに該当するかが争点となり、裁判官が男性と妻の双方に審問を行うなど審理を進めてきた。
渡英の子、日本に返還命令…ハーグ条約初適用
2014年07月30日 00時18分
結婚の破綻で国外に連れ去られた子の扱いを定めた「ハーグ条約」に基づき、英国の裁判所が、母親と一緒に同国に滞在している日本人の子供について、父親のいる日本に戻すよう命じたことがわかった。
外務省によると、今年4月に日本で条約が発効してから、子供の返還命令が出たのは初めて。
条約では、片方の親が16歳未満の子を無断で国外に連れ去った場合、原則として元の居住国に戻すことになっている。今回問題となったのは、現在、離婚調停中の日本人夫婦のケースで、母親が今年3月、7歳の子供を連れて渡英。父親は、5月に帰国する約束が守られなかったとして、条約に基づきロンドンの裁判所に返還を申し立てた。
同裁判所は今月22日、「母親が5月以降も子供を英国に滞在させているのはハーグ条約に照らして違法」と認定。子供を30日までに帰国させるよう命じたという。
2014年07月30日 00時18分 Copyright © The Yomiuri Shimbun