離婚原因のなかでも多いのが配偶者の不貞行為(浮気)です。しかし、配偶者の不貞行為(浮気)の存在を裁判において客観的証拠から立証することは決して容易ではありません。詳しくは墨田区錦糸町・押上アライアンス法律事務所にご相談下さい。
離婚原因「不貞」とは?
不貞とは、「配偶者のある者が自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」をいいます。性的関係が一時的か継続的か、買春的行為か売春的行為かは問いません。強姦も不貞に当たります。
ただし、過去の古い不貞行為については、議論のあるところです。なぜなら、今日まで離婚原因が継続していたということは、不貞を許したとも考えられるからです。
不貞による離婚を請求する場合、相手方配偶者の不貞の事実を立証しなければならず、現実にはその立証が困難な場合も少なくありません。そのような場合であっても、妻が夫の不貞行為の疑念を抱いているのに、夫がその疑惑を解き信頼を回復するよう誠意を全く尽くさなかった事案において、「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるとして、婚姻が認められたケースがあります。
性的関係がなければ離婚できないのか?
離婚原因となる「不貞」とは、「配偶者のある者が自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」をいいます。性的関係がなければ離婚できないのかといえば、そういうわけではありません。性的関係がなくても、異性との度を超えた親密な交際は、「婚姻を継続し難い重大な事由」として、離婚原因となります。
不貞行為の立証
不貞行為の立証は、その主張・立証によって利益を受ける方、すなわち、離婚を求める方、慰謝料請求をする方に立証責任があります。
この点について自白があればいいのですが、自白がない場合、不貞の立証のために調査会社に配偶者の素行調査を依頼するなどの必要があります。その立証の程度も、配偶者が不貞相手とホテルに入った事実や不貞相手の自宅に自由に出入りしているなどの事実を証明しなければならず、そのハードルは決して低いものではありあせん。
※浮気調査もその調査方法次第ではプライバシー侵害で訴えられる可能性がありますので、注意が必要です。
浮気調査がプライバシー侵害となった事案 京都地裁平成18年1月24日 |
被告の従業員から浮気調査の対象とされた原告が,違法な行為によって損害を受けたとして,民法715条に基づき,損害賠償を請求した事案 |
認定された事実 |
被告は,従業員をして,平成15年1月17日から同月19日までの3日間,本件マンション2階の配電盤の上にヴィデオカメラを設置し,原告の居室に出入りする人物や原告の容貌を無断で撮影した |
結 論 |
慰謝料50万円 |
理 由 |
ヴィデオカメラの設置によって,原告の居室に出入りする人物や原告の容貌が無断で撮影され,原告のプライバシーが侵害されたことは明らかであるが,その期間は3日間であること,本件報告書の記載内容を前提にAが原告に対して訴訟を提起したこと,その訴訟において,原告は,Aに対し100万円を支払うことで和解したこと,その和解金の支払状況や現在,原告はBと同居していること等を総合考慮すると,原告に対する慰藉料の額としては,50万円が相当である。 なお,原告は,Aとの前記訴訟における弁護士費用23万円も損害である旨主張するが,前記認定の被告の不法行為と相当因果関係があるとは認めがたいので,これを損害と認めることはできない。 |
浮気相手に対する慰謝料請求の可否
配偶者が不貞行為(浮気・不倫)をした場合,その相手に対しても精神的苦痛を慰謝するための慰謝料請求が認められます。もっとも,離婚に至る原因は様々ですから,不貞行為についての慰謝料はともかく,離婚そのものによる慰謝料までは認められないとする裁判例もあり,配偶者が負うべき慰謝料額よりも認められる金額が小さくなるケースも少なくありません。
なお,配偶者が不貞行為をする以前に,婚姻関係がすでに破たんしていた場合には,特段の事情のない限り,慰謝料請求は認められません。
甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。けだし、丙が乙と肉体関係を持つことが甲に対する不法行為となるのは、それが甲の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、甲と乙との婚姻関係が既に破綻していた場合には、原則として、甲にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないからである。(最判平成8.3.26) |