1「性格の不一致」に次いで多い暴行・虐待(DV)
司法統計によれば,家庭裁判所における婚姻関係事件では,夫による暴力を申立ての動機とする事件数が,性格の不一致を動機とするものについで2番目に多くなっています。
配偶者からの暴行・虐待行為の結果が重大である場合や,日常的に行われている場合には、婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると判断されることが多いといえますが,ありふれた夫婦喧嘩程度での暴行のときには,それ自体では離婚原因とはなり得ず,不貞・ギャンブル・飲酒癖・その他の事情を総合考慮して,「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると判断できるかが問題になります。
暴力によりけがをした場合は,診断書,写真などを立証のために確保しておくのが有効です。
証拠方法 |
入手方法 |
備 考 |
診断書 |
病院から入手 |
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写真 ビデオテープ |
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受傷直後に暴行を受けた部分を撮影録画したもの |
録音テープ |
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暴行現場で録音したもの |
2 DV防止法の保護命令
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)の保護命令制度は,裁判所が配偶者から暴力を受けた被害者からの申立てにより,配偶者に対して保護命令を発令し,被害者が配偶者からさらに暴力を受けることにより生命又は身体に対する重大な危害が加えられることを防止することを目的としており,保護命令に違反した者は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることとなっています。
近年では,年間3000件を超える申立てがされており、手続きも非常に利用しやすいものとなっています。しかし、離婚事由としての暴行・虐待を立証する際の証拠としてのDV防止法に基づく保護命令が発令されたことは、その手続きの容易さ故に、暴行の存在をうかがわせる事由にはなりますが、そのことの立証のみでは、暴行の事実を直ちに認めるには足りないとされています。やはり、暴行等を受けたさいに、診断書を残しておくなど、暴行の証拠化が重要となります。
3 精神的暴力
離婚訴訟において、無視・暴言・支配などの精神的暴力・虐待は、それだけで「婚姻を継続し難い重大な事由」とは認められません。しかし、その他の事情と相まって、婚姻関係が破たんしたといえる場合には、離婚原因となりえます。
配偶者からの暴言や侮辱的言動が「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるか否かの判断は、暴言の内容、回数、期間、それに至る経緯等を総合的に考慮して判断されます。
4 具体例
(1) |
ちょっとしたことにも興奮しやすく暴力を振い、灰皿代わりに使っていた茶器で妻の顔を殴打し傷害を負わせるなど、時として常軌を逸した強暴な振舞に及び夫の暴力行為(最判昭和33年2月25日) |
(2) |
不貞をした夫が妻をたびたび殴打し、「女も子供もあるから出て行け」などと暴言を繰り返したこと(大阪地判昭和48年1月30日) |
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