1 浮気相手に対する慰謝料請求の可否
配偶者が不貞行為(浮気・不倫)をした場合,その相手に対しても精神的苦痛を慰謝するための慰謝料請求が認められます。もっとも,離婚に至る原因は様々ですから,不貞行為についての慰謝料はともかく,離婚そのものによる慰謝料までは認められないとする裁判例もあり,配偶者が負うべき慰謝料額よりも認められる金額が小さくなるケースも少なくありません。
なお,配偶者が不貞行為をする以前に,婚姻関係がすでに破たんしていた場合には,特段の事情のない限り,慰謝料請求は認められません。
2 請求方法
任意に不倫相手方が慰謝料を支払わない場合の請求する方法としては、裁判所に調停を申し立てる方法があります。離婚調停とは異なり、不倫相手に対する慰謝料請求の場合には、調停が成立する見込みがないのであれば、最初から訴訟を提起することもできます。
なお、相手方配偶者に対する離婚及び慰謝料請求と併せて、不倫相手に対する慰謝料を求める調停を家庭裁判所に申し立てることもできます。
3 不貞行為(浮気・不倫)の相手方に対する慰謝料請求
の消滅時効
離婚に至らしめられたことに対する慰謝料請求権については,離婚時から3年間で消滅時効にかかります。不貞行為そのものに対する慰謝料請求権については,不貞行為を知った時から3年になります。
4 浮気相手に対する慰謝料請求:ケーススタディー
不貞行為(浮気)の相手に対する慰謝料請求をした裁判例において、具体的にどのような事情が考慮されて、慰謝料が算出されたのかをご紹介いたします。
婚姻期間 |
約3年 |
子ども |
1人 |
夫婦仲 |
夫婦で出かけたり,第2子を妊娠したりしており,婚姻関係が円満であった |
不貞行為 |
配偶者の方が職場の先輩後輩関係を利用して積極的に誘ったことで不貞行為が始まった。不貞行為が継続した期間がわずか2か月程度と短い。 |
その他 |
不貞行為の発覚後,中絶手術 |
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離婚を決意したのは,配偶者が過去に別の女性と不貞行為をしていたことがあったことも多分に影響している |
慰謝料 |
150万円 |
婚姻期間 |
約5年 |
子ども |
(記載なし) |
夫婦仲 |
不貞配偶者は別居を求めるなどして離婚の意向を示していたことが認められるものの,同居生活を営んでおり,離婚を考えるには至っていなかった。 |
不貞行為 |
平成17年7月頃,卓球のクラブチームの試合を通じて不貞配偶者と知り合い,平成20年5月頃から同年12月頃まで不貞行為を行った。平成22年2月には,原告に対し慰謝料の支払を約束した(支払完了済)。 それにもかかわらず、平成23年7月から同年8月にかけて,少なくとも2回,深夜の時間帯に「花咲の湯」等において不貞配偶者と面会した。 |
その他 |
不貞相手は,不貞配偶者と再会する前から配偶者との離婚を考え,思い悩んでいた不貞配偶者の窮状を見かね,同人の求めに応じてやむを得ず面会したものであり,必ずしも不貞配偶者との面会に積極的であったわけではない |
慰謝料 |
80万円 |
※「被告は,かつてcと不貞関係にあったものの,原告に対して慰謝料80万円の支払を約する公正証書を作成しており,以後,再び原告とcの婚姻関係を破綻に至らせるような行為をしないことを当然の前提としてこれを作成したものというべきである。そして,上記のとおり,深夜の時間帯に「花咲の湯」等においてcと面会していた被告の行為は,被告がcと再び不貞関係を再開したのではないかとの疑いを抱かせるのに十分な行為であり,原告とcの婚姻関係を破綻に至らせる蓋然性のある行為であると認められるから,かかる被告の行為は,原告に対する不法行為に該当するものと認めるのが相当」であると判示しています。
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