1 在日韓国人同士の裁判離婚
通則法27条(25条を準用)によれば、夫婦の本国法が同一であればその国の法律が準拠法となります。したがって、夫婦ともに韓国籍の場合は韓国民法が適用されます。被告となる相手方配偶者の住所が日本にあるのであれば、日本に離婚の国際的裁判管轄権が認められますので、日本の裁判所で、韓国民法に準拠して裁判をすることになります。
2 裁判上の離婚原因(韓国民法840条)
夫婦の一方は、以下の事由がある場合は、家庭裁判所に離婚を請求することができます。
大韓民国民法第840条(裁判上離婚原因):夫婦の一方は、次の各号の事由がある場合は、家庭裁判所に離婚を請求することができる。 |
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1 |
配偶者に不貞な行為があったとき。 |
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配偶者が悪意で他の一方を遺棄したとき。 |
3 |
配偶者又はその直系尊属から著しく不当な待遇を受けたとき。 |
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自己の直系尊属が配偶者から著しく不当な待遇を受けたとき。 |
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配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。 |
6 |
その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。 |
3 不貞による離婚請求権の消滅(韓国民法第841条)
不貞行為を理由とする離婚請求権は、①他の一方が事前同意若しくは事後容恕をしたとき、又は②これを知った日から6月、その事由があった日から2年を経過したときは消滅し、離婚を請求することができなくなります。
4 婚姻を継続し難い重大な事由を理由とする離婚請求権の
消滅(韓国民法842条)
婚姻を継続し難い重大な事由を理由とする離婚請求権は、他の一方がこれを知った日から6月、その事由があった日から2年を経過すれば、離婚を請求することができません。
5 有責配偶者からの離婚請求
韓国において,有責配偶者(婚姻関係を破たんさせた責任のある一方配偶者)からの離婚請求については、判例上、原則として認められません(大法院1965年9月21日)。もっとも、離婚請求された配偶者において、「婚姻を継続する意思」がないよ認められる場合には、例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められます。「婚姻を継続する意思」の有無は、婚姻の継続と両立し得ない行為による離婚意思の明確化、別居の期間、音信不通状態等の事情により判断されます。